どうも、タカハシ・ブラフ・タカシです。
前回はロイヤルストレートフラッシュにブラフしたというアクションについて、そこに至るまでの経緯を解説致しました。
【オールイン】ロイヤルストレートフラッシュに3連ブラフ!?当人が徹底解説マインド編【勝率0%】 | タカハシ・タカシのポーカースタイルログ (takasipokerstyle.com)
今回の記事では前回扱ったブラフスポットについて、ソルバーを用いた解説・振り返りを行います。
かなり細かい部分まで触れることが出来ていると自負していますが、「考えが甘い」と感じた方がいらっしゃいましたらお問い合わせフォームのほうから声をかけていただけると幸いです。
ではいくぞー
ソルバー解としてのブラフ解析① フロップ編
設定一覧(読み飛ばし可)
下の画像は今回のUTGvsCOをpiosolver(ポーカーの計算ソフト)で解析するにあたっての設定画面だ。
UTGのレンジはけっこう卓によって変動させているので参考程度の精度。COのレンジについても対戦相手の情報は特に無い前提に立った、有り得そうなレンジを曖昧に入れ込んだものとなっている。
bet額のオプションは
UTG側
Flop bet 40,70(%pot) raise 33,80(%pot)
Turn bet 40,75,81,100,135,170(%pot) raise 50(%pot)
River bet 33,81,100,200(%pot) raise 50(%pot) Donk 100(%pot)
CO側
Flop bet 33,75,100 (%pot) raise 50(%pot)
Turn bet 50,100 (%pot) raise 50 (%pot)
River bet 50,100 (%pot) raise 2x,50 (%pot)
なお、Turn以降はbet額がpotの67%を超えた場合にオールインの選択となるよう『Add allin』のオプションを設定している。
より具体的で個々人の敵に最適化した戦略を組むことは皆さまにお任せしたい。
レンジはこんなの(一応)
左が仮想UTGレンジ 右が仮想CO
フロップのオプション UTG&CO
ベットのオプションはほぼ%と出ました。
何すればいいのか分からなかったら何もしなくていいってことも確かにありますな!
Flop oop時点でのRange Explorer
piosolverの便利機能としてその時点でのレンジの構成とレンジ全体でのエクイティ(勝率)、ベットレンジの構成、それらのグラフを見ることが出来ます。便利ですね。
この時点でのエクイティは50.4%でした。(下手な赤丸部分)
微有利とは思ったけど、ここまで接戦と想定外。
兎も角、UTGのフロップはチェックでよかったのでしょう。
それに対するCOがこちら
割と打ってます。大きさは75%のほぼ固定。
尤も、他に細かい選択肢を入れればまた違う結果となり、75%が必ずしもマストとはならない筈です。その辺りはソルバーを扱うにあたっての基本です。あくまで一部の傾向、75%付近のbet額が良さげ程度に見るべきでしょう。
レンジの構成自体は中々に雑多。
ストドロとなるQx、Jxはかなりベットへのモチベーションが高いです。それに67sや66~88といったローからミドルのペアも最終的な勝ち目の薄さからトラッシュハンドとしてブラフ調にベットされています。
こういったフロップからのブラフのレンジ作成は出来るとできないのとでは成績に大きく差として現れがちなので使っていきたいですねー。
なお、このようなドローとトラッシュハンドが過剰に含まれるベットレンジにはミニレイズが良く効きます。むしろコールする事の方がしんどいことが多いです。相手にはまだブラフの機会が沢山ありますもの。Axのthgk(トップヒットグッドキッカー)のようなストドロのおまけがあるならまだしも、単なるAヒットなんかは絶対に日の目を見ません。あきらめましょう。(前科n回)
なぜ筆者自身のレンジであるUTGのみならず、COの相手方も詳しく見ているかだって?
せめてフロップくらいはGTOライクなオプションに沿っていてくれることを確認しなければ、リバーまでの計算結果や残存レンジの解説がままならないからである。
リバーの計算結果の画像だけ貼って共有できればそりゃ楽だけど、検討としてもソルバーの扱いとしても意義が薄くなっちゃうし。ターン以降はソルバーと対戦相手の乖離が激しくなりがちなので適当に流す程度にします。
ソルバー解としてのブラフ解析② ターン編
ターンのソルバー結果画像UTG
概ね、ベットサイズとしては40%と75%が選択されています。――81%は蛇足でしたね。
選択されたサイズについてRange Explorerで詳しく見てみましょう。
下の画像が75%bet推奨のRange Explorerです。
ストレートの一部、セット、ツーペア、thgkという順当に強いレンジとローポケットが混合しています。54sのようなターンで進展したレンジも存在しますが、フラッシュに負けてはいるがフロップ時点から順当に強いハンドとトラッシュハンドの混成です。
続いて40%betのRange Explorer
A単体のトップペアとフラッシュ、ストレート、良い絵が取れなかったのですがローポケットの中でもフラッシュドローのないレンジが多く採用されています。
これはつまり3種類のレンジで構成されているベットであると言えます。
①フラッシュ めっちゃ強い
②ただのAワンペア 有象無象よりは強い。Aのワンペアの中では弱い。
③44のフラドロ無しのようなトラッシュハンド もはや勝ち目のないレンジ。
このように明らかに強さの違うレンジの混合は結構珍しい上に、脳内での再現が困難。
なのでそれぞれのレンジで~~のベットを打てる・打てない、打ちたいか・打ちたくないかで区分けしていくと良いでしょう。精度の問題なので完璧に出来る必要はないですし、筆者も出来ません。
UTGのターン75%betに対するCOレンジ
特にいう事もないです。
実戦ならCOがフラッシュ握ってるときにUTGの75%ベットにレイズしたがる気もしますが、ここでレイズするとリバーのUTGブラフが全く無くなってしまうので多分アド損です。
ソルバー解としてのブラフ解析③ リバーベット編
UTGターン75%ベット、COコール後のソルバー観
44は必ずベットしていますね。
内訳としては33%と81%に二分されている形です。EVでいうならば33%<100%<81%。
まあ、EVについては微差なので気にすることもないか。
Range Explorerで各ベットレンジの内訳も見てみましょう。
UTG81%ベットの内訳・検討
セットとトップ2ペアに混合する形で44~66のトラッシュハンドが採用されています。
実戦ではプレイヤー個々人でブラフの採用に差がありすぎることもあり、しっかりと混合されたレンジでのベットが内訳を特定されエクスプロイされることは非常に稀で困難です。ブラフレンジ矢鱈に恐れずしっかり作っていく方が無難ですらあります。
「ローポケのトラッシュはブラフレンジにまわし易い」
これだけ覚えてもらってたら、この文章の趣旨の大半は成功です。
UTG33%ベットの内訳・検討
thgk、マージナルな2ペア、一部セットそしてトラッシュハンドのローポケで構成されています。
33%ベットという比較的小さい額にブラフをどのように入れ込んでいくのかというのは非常に繊細で難しい論題です。
相手がコールしすぎる傾向があるのならば、あくまでバリューハンドに偏らせ、ブラフを排除する選択肢も十分にあるでしょう。まあ、相手がどうであれブラフレンジの構成について一度立ち止まって考えてみる事が吉でしょう。
相手の傾向に沿った意思決定を意識しておきたいところですね。
ああ、フロップフラッシュなんかはリバーでがめつく200%とか打ってたりします。
完全にやの字の自営業ですね。今度は打つ側でいたいものです。(なお、(ry))
CO、リバーミニマムレイズの再現
ソルバーといえど、実戦でのレンジの完全再現は困難です。明らかにGTOから逸れたオプションについては人間の手で打ち直さねばなりません。
COのリバーミニマムレイズについてもそれは当てはまります。
そこで今回は相手がレイズしうるレンジを統合したレンジを製作し、UTG81%ベットのレンジと再度計算しなおす――なんてことはしません。
コンボ数が全体の内の0.11%になろうが11%になろうが、こと混合の比率については大差は出ません。(多分 by めんどくさがり)
でーすーのーでー。COのリバーミニマムレイズのレンジはこちらとなります。
右上の役ごとのレンジ構成に注目してください。
ロイヤルストレートフラッシュが5%近くも存在しています。他にはストレート、セット、ツーペアが殆どを占めています。
正直、KTのツーペアをレイズにまわすのは如何なものかと思うので、実戦での占有率はもう少し変動するでしょう。
全体の傾向は十分つかめました。トニカクツヨイ、ジッサイツヨイ。以上。
こんな強靭なレンジでレイズされてしまったUTGはどうなるのでしょうか?
UTG側のオプションに注目です。
COミニマムレイズに対するUTGのハンド達の反応集
来るならこい!UTGの誇り、みせてやるッ!!
意外というべきか、何と言うか。けっこうアグレッシブですね。
15.89%のレンジでオールインを打ち返しています。44も恐れながら末席に加えさせて頂いております……。
恣意的な操作はしておりません。むしろ、このブラフレイズオールインについてどや顔したかったのでここまで記事を作成してきました。(どやあ)
まあ、頻度から見てわかる通り100%の頻度で44オールインなどしていたら馬鹿丸出しですし、エクスプロイトの対象になります。ビビッときたらブラフを検討する程度で良いでしょう。(筆者はビビッときました。相手のハンド感知センサーはぽんこつだった模様)
下の画像はUTGのレイズオールインレンジについてのRange Explorerです。
殆どがセットで構成されています。セットとトラッシュと混合です。
これを見て「少し失敗したな」と感じた点として現状のUTGレンジにロイヤルストレートフラッシュが無かったことが挙げられます。
ターンとは兎も角、リバー81%というベットレンジには様々なメイドハンドが存在する一方で、完全にナッツであるロイヤルにはそぐわなかったという実情があります。
UTGがロイヤルを持っていた場合では、リバーはチェックレイズの選択肢が強く推奨されていました。レンジ全体が十分強く、広いレンジで様々額を打つ性質上、チェックレンジが弱くなりがちなので、そのあたりのバランスではないかと考察しておきます。(出来るとは言っていない)
話をレイズオールインレンジに戻すと、ブラフレンジのコンボとしてT9sというものもありました。お洒落ですね。このレンジをリバーまで持ってくるのはそれこそ骨が折れるというか、ローポケのトラッシュ以上に数奇な道筋が必要だと感じますが、もしもの時のブラフレンジコンボの補填として知っておいて損はないでしょう。
さて、言いたいことの残りも少なくなってきました。
まとめに入りましょう。
全体の総括・まとめ
今回は実際にあったブラフスポットについて解説してきました。
失敗した身で恐縮ではありましたが、いくつかは参考になる点もあったかと思います。
特に強調したい点としては、
1、レンジ全体の強さを見込んでトラッシュハンドをしっかりブラフにまわす事
2、他のベットレンジとの釣り合いを意識したサイズを意識することで、ベット額自体を区別してレンジにブラフコンボを再分配出来る事。(トラッシュのフラドロの有無等)
3、後のアクションが残っていれば、ブラフは継続して打つことが出来るという事
4、完全に勝率0のハンドでもブラフは検討できるし、GTO解でも十分採用されるということ。
間違いなく断言できる話としてはこれくらいでしょうか。
他にも、
ブラフを打つこと自体を日和らない事
トラッシュでブラフすることに日和らない事
なんかも強調したいですが、精神論ですね。
メタ的に付け加えるなら、
復習は出来る限り徹底して行う事、これは大事です。
ブラフの解像度が飛躍的に高まります。ブラフについては柔軟性を確保した上で再現性が高いのでポーカー全般の内でも復習の重要性が非常に高いスポットと感じています。(リークにもなりやすいしネ)
以上でこの記事を締めたいと思います。
前回と合わせ10000字強の文章と多数の画像をご覧いただき本当にありがとうございます。
今後もポーカーについて熱く語っていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
END
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コメント
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